2009-01-01から1年間の記事一覧
ある学会の九州地区の講演会で招待講演をおおせつかる。ありがたいこと。発表はあさってに迫ったので、昨日からスライドを作っている。かつての仕事を改めて眺めると、あらばかり目立ちしまいには逃げ出したくなる。それぞれの仕事を論文にした時点では充足…
事業仕分けで若手研究育成の減額が決まったとのこと。先ほど副大臣と政務官宛に抗議のメールを送った。 - 中川正春担当副大臣殿、後藤斎政務官殿事業仕分けにおける競争的資金(若手研究育成)の縮減について若手としてご意見申し上げます。実績のない若手に…
やりながら考える宮崎に対して、理詰めの高畑。ともすればイメージの魅力だけで暴走してしまう宮崎は高畑など批判者とのせめぎあいの中で初期の傑作群を作ったとの指摘がある。一方で、批判者が居なくなってからは圧倒的なイマジネーションという宮崎の良さ…
今の社会状況は相当に厳しいと思う。将来の改善を予感させる種も今のところ見つからない。研究者を取り巻く環境も同様だ。ここ1年ほど鬱々として楽しめない。発展することが善だとは思えなくなってきた。 ただ、昔の人はよいことを言った。人生万事塞翁が馬…
助教9年目を迎えトウが立つ前に、そろそろ僕のモラトリアム時代を終わりにしなければならない。今まで上の世代のことを批判していればよかったが、これからはそれらの批判に対する自分なりの回答を示さなければならない。つぶれない程度に自分にプレッシャー…
セカイ系とはエバンゲリオン以降の文学やアニメの潮流であり、世界と自分が等価にあるもの。古典的な私小説とは違い、自分の危機が世界の危機と直結している。つまり「他者」とか「社会」が欠落しているものを言うらしい。 昔の研究者は社会的要請とか、ライ…
1980年代後半から90年代前半、日本はバブルに沸いた。当時、僕は高校生〜大学1年であったがそれなりに景気がよいことを実感していた。財テクブームなるものがあり、うちの父親も遠く離れた福岡のマンションを購入した。また、バイト先(小さな弁当屋)の経営…
先週木曜夜、日本に無事帰ってきた。アメリカになれるのにあれだけ苦労したのに、日本に帰ってきて落ち着くのは一瞬だった。母国はいいものだ。本当に一瞬で日本モードに切り替わった。たとえば、アメリカでは知らない人に対しても道ですれ違うときは微笑し…
下記の日記を9月15日ころアップの予定だったが、パソコンの調子が悪くてできなかったので、今ごろアップ - 大学の独法化以降、研究費の傾斜配分に拍車がかかり、富めるものはますます富む状況にある。僕が学生のころに比べて、随分と研究費は潤沢になった。…
大学4年生の頃、大学の研究者としてやっていきたいと思いはじめた。そして良い研究をしている先生と自分との大きな差に愕然として悩んだ。あの高みに将来到達できるのかどうか不安であった。思えばこのとき、能力の差と経験の差を区別せずに考えていた。目標…
昨日終わった。Toshとは2週間前に打ち合わせして概略は伝えてあるので、より突っ込んだ議論ができてよかった。質問も良く出たが、論文モードでデータを取っているため準備が出来ていて、実験結果から答えられることと答えられないことの判断がすでについてい…
いまだもう一つのテーマについてはオチがつかない。不本意ながら適当なところでまとめて無理やりオチをつけることにした。先日Toshに相談すると悪くないオチとの評価。「まあこれでいいや」と思っていたら、後日、相談に行くとin vivoを加えてもっと良い論文…
いよいよ帰国まであと二ヶ月。一つ目のテーマについては論文に向けてストーリーが固まってきた。まだ詰めなくちゃいけないところは多いが、ストーリーが固まると気分は晴れる。ついこの間まで先が見えず、逃げ出したいくらい追い込まれていたのに、ここ数週…
先週は一週間休暇を取って、フロリダのOrlando観光へ行ってきた。研究が思うようにはかどっていなかったので、あまり気乗りしていなかったのだが、行ってみるとそういうことは忘れて楽しむことができた。よい気分転換になった。ディズニーワールドに、シーワ…
アメリカに来た当初、外食の際に食べるものがなくてかなり困った。日本にいたころにたまに食べるのが楽しみだったハンバーガーとピザにもすぐに飽きてしまった。たのみの綱の日本食レストランでさえ、アメリカナイズされて口に合わなかった(甘味成分が少な…
残り3ヶ月。なかなか研究の終わりが見えてこず、憂鬱な日々だ。友人たちに相談すると、皆さん実験ができる最後のチャンスだから楽しめ、と言われる。楽しむ余裕もなくなってきたし、正直言って、逃げ出したいくらいなんだけどな(おいおい)。僕の特徴は、最…
湯浅政明、不覚にも知らなかった。今敏さんが湯浅さんの「マインド・ゲーム」というアニメ映画を推薦していた。YouTubeで少しだけ見れたが、今までに見たことのないすごい映像であり、天才だと思った。そこで探してみたところ「ケモノヅメ」というテレビシリ…
先日、日本語補習校にて古本市があり、家内が買ってきてくれた。タイトルはいかがなものかと思うが、内容は面白かった。要約すると、 1.類人猿に比べて、人間は生殖期をすぎてからの生存期間が長い。生殖期と続く育児期間を過ぎれば生存の価値はないのにな…
留学は9月末までなので、残すところ4ヶ月を切った。そこでなんとしても滞在中に論文を投稿するために実験計画を練り直した。現在、自分にとって目新しいものと、すでにもっている技術で何とかなるもの、2つのプロジェクトをやっていてどちらも論文にしてい…
僕は日本で助教(assistant professor)というポジションにいる。アメリカの助教はPI(principal investigator)であり、独立して研究室を運営する。一方、日本の場合、教授―准教授―助教のように複数の教員で一つの研究室を運営する場合が多い。したがって、…
Labでのみなさんからの信頼が高まっていることはとてもうれしいこと。しかし、当然、自分の仕事に割ける時間が減ってくる。装置の使い方を教えたり、ディスカッションしたり。この間は、PDのSさんが僕の仕事を手伝いたいと言ってきてくれた。この件にはこれ…
今朝、うれしいことがあった。博士課程のMさんが、朝、僕に見て欲しいデータがあると言ってきた。見せてもらうと、僕がこの間のラボミーティングで話したある現象についての解釈を補強するようなデータだった。別の目的ではじめた実験だったが、期せずしてそ…
今度、うちのlabに僕の友人のAさんがPDとして来る事になった。とても優秀かつハードワーカーなので(ハードワーカーを自称する僕ですが、はじめて身近な人でかなわないと思ったのがAさん)、こんなすごい人材はいないことをToshに説明したところ、グラントが…
先週の月曜は、学生時代から仲良くさせていただいている阪大のMさんがうちのlabに来室された。Texasである学会に参加するとお聞きしたので、その機会に個人的にお誘いしたのだった。Toshに話したところ、Mさんの業績を見てぜひ自分から招待したいと言ってく…
アメリカの大学では年に1回、学科ごとにRetreatというイベントがあるようだ。これは、院生以上の学生、教員、PDが一箇所に集まって寝泊りししながら、講演を聞いたり、ディスカッションしたり、飲んで騒いだりするイベントである。日本の研究室でいうところ…
小松左京は日本を代表するSF作家である。僕はそのスケールの大きな小説と思想に学生のころから惹かれてきた。いわく、哲学者は現在の地球という狭い範囲での私のあり方を考えるのではなく、宇宙の中での私を考えねばならない。実際、氏の小説はスケールが大…
学生が書いた論文原稿の第二稿を昨日、今日かけて修正した。初稿は論理がまったく不明瞭である上に、関連文献の調査がまったく足りなかったため、徹底的にダメを出した。しかし彼の説明を聞いて、彼の立場も痛いほどよくわかった。留学生であり、CVを魅力的…
ある化学では悪くない雑誌からreview依頼があり、週末に片付けた。色々問題があった。一番問題なのは著者らが自分の前報を引用していないこと。実は前報も僕がreviewしたので知っていたのだが、三流誌に載っていた。今回の論文と同じ分子を使っていて、全10…
木曜にラボミーティングで進捗を話した。本格的に準備をはじめたのが火曜だったので、スライドが完璧ではなく、また発表練習も3回大雑把にやっただけだった(それでも睡眠時間をぎりぎりまで削って準備したのだ)。もう少し準備に時間をかけないといけなかっ…
ここ2週間ほど、僕が扱っているポリペプチドの円偏光二色性(CD)スペクトルの測定をDukeの理学部生物学科のO准教授の研究室でやらせてもらっている。日本ではJASCO製のものしか使ったことがなかったが、ここのAVIV Biomedicalの装置はプロ仕様というべきも…